福島第一原発事故に対する対応方針と放射能汚染及び放射能検査など学習会を開催しました
日 時:2011年8月19日(金)13:00~15:00
場 所:元木公民館(山形市)
講 師:生活クラブ連合会 品質管理部 部長 槌田 博さん
参加者:運営委員、役職員 計25人
<内容>
1.生活クラブ連合会 槌田さんからの説明・報告
①想定外の巨大地震を印象付けた
はじめに、3月11日に発生した東日本大震災のマグニチュード(以下M)は9.0だったが、気象庁の発表は、発生直後M7.9、その約三時間後M8.8と発表を二転し、二日後にM9.0を確定した。発生直後に発表したM7.9は気象庁マグニチュードを採用したものだったが、原発事故が人災ではなく想定外の天災を国民に印象付けるために、国際基準のMを採用したとか。因みに2004年発生のスマトラ沖地震はM9.2、その4ヶ月後の巨大余震はM8.7だった。
②福島原発事故と放射能の放出
津波による全電源喪失以降、3月11日17時頃まずは1号機の炉心融解が発生。3月12日原発建屋の排気を行ったことにより放射能が大気中に拡散。5月31日までの間、炉心冷却のために注水した総量約55,000㌧の内、約1/3は蒸発、残り2/3は漏洩して地下や海へ流れ込んでいるという。
2.チェルノブイリ原発事故に学ぶ
1986年に発生したチェルノブイリ原発事故では、今なお公衆への影響が続いている。
①子供の甲状腺ガンが発症する件数は、事故5年後には10倍以上に拡大。
②10㍉㏜の被爆量でガン発病による死亡数は1万人に1人レベルに。死亡率0.1%ならと思うのではなく、生活クラブやまがたの組合員1万人の中のだれか1人が死亡すると思うことが大切。
③ブタベスト市民のセシウム137を体内摂取した量は、被爆直後から約1年後に最大値になり、3年後にはほぼ消失した。体内に取り込んだセシウムは、尿や汗などで体外に流出し、約100日で半減するが、土壌等の物質からはセシウムが半減するには約30年の歳月が必要。
④チェルノブイリ事故から20年以上経過しているが、牧羊が盛んなイギリス西部の高地では今でも出荷制限が続いている。事故後に沈着したセシウムの量は20~40㌔㏃(ベクレル)/㎡。
3.個人の放射線被爆量を計るには
① 外部被爆+内部被爆+自然被爆を合計した被爆量で影響を考える。
② 外部被爆は空間線量から換算する。
Xμ㏜(マイクロシーベルト)/時≒10Xミリ㏜(シーベルト)/年
(例)0.2μ㏜(マイクロシーベルト)/時の場所で1年間生活すると2ミリ㏜(シーベルト)/年被爆したことになる。
③ 体内へ摂取するセシウムの量から内部被爆量への換算が必要。
X㏃(ベクレル)を食べる≒X/50μ㏜(マイクロシーベルト)
(例)200㏃(ベクレル)の肉を100gなら0.4μ㏜(マイクロシーベルト)被爆したことになる。
4.生活クラブ連合会としての今後の対応
9月からは、飯能DC、戸田DCともに食品放射能測定装置を導入し、ほぼ全品目の放射能検査を実施。結果をホームページ上でのデータ公開とダイジェスト版チラシを作成して組合員に配布、脱原発社会の実現のための諸活動をすすめる。
放射能汚染の全貌を把握し、放射能に対する共同購入のありかたを検討して大勢の組合員による学習会を重ねながら新たな自主基準を創造する。
5.これからの放射能との付き合い方
仮にセシウムが検出された食品(基準値内)だとしても、敏感になり過ぎて「煮こぼしたり、酢漬けなどの汁を全部捨ててしまわないこと。溶け出しているものにこそ身体に必要なミネラルが含まれていて、それらを摂取しない偏った食べ方がかえって免疫機能を下げてしまい、健康を損ねてしまう。組合員一人ひとりがよく考えて行動し、これからの社会を自分達で創りあげることが必要である。
6.学習会の最中に地震が発生
くしくも3.11発生と同じ金曜日、館内放送に従い、駐車場に緊急避難する一幕のオマケ
2011年8月22日 文責:曽野部勝啓